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一般的に、ポートフォリオの運用効率の向上を阻害する要因として、クローゼットインデックス化、ミスフィットリスク、スタイルドリフトの三つの要因が指摘されている。
ボートフォリオを構成するマネージャーの要件は、高い運用効率と他のマネージャーとの低相関性にあるが、低相関で、あっても運用効率が低下するとポートフォリオのインデックス化(クローゼットインデックス化)を、運用効率は高くてもマネージャー聞の相聞が高まればポートフォリオのリスクの上昇(ミスフィットリスク)を招くことになる。
マネージャーのスタイルドリフトは、ポートフォリオのクローゼットインデックス化やミスフィットリスクを招きかねないことから、事態に陥らないよう継続的にモニタリングを実施していくことになる。
そうしたなかで、運用効率の低下がみられた場合、伝統的資産のリターンは、マネージャーのスキルから生じるスキルリターンよりもリスクプレミアムリターンのほうが大きいことから、スタイルに一貫性があり、ベンチマークに対する超過リターンを獲得していて、かっ他のマネージャーのリターンと低相関であるアクテイブマネージャーや、マネージャー聞のスタイル分散を高めるH的でスタイルインデックスを導入することによって運用効率を改善することができる。
ヘッジファンドのリターンは、マネージャーのスキルから生じるスキルリターンのみであることから、マネージャーのスキルを比較、選定、組み合わせる専門能力が必要となる。
ヘッジファンドをスタイルピックできる専門能力をもつ投資家もいようが、費用対効果を考えると、マネージャーの選定からファンドの組成、モニタリングといったヘッジファンド投資のオブファンズを利用するほうが現実的な問題解決手段であろう。
ここでは、コストという観点で、ヘッジファンドのスクリーニングプロセスをアウトソーシングすることを検討する。
まず、ヘッジファンド投資にあたり、最低限必要なマネージャー数を見積もると、一定の運用効率を確保するには少なくとも15-20杜桂度のマネージャーが必要とされている。
次に、20杜のヘッジファンドマネージャーを、200社のユニパースから絞り込むと想定すると、テューデイリジェンス(詳細調査)にかかわるコストは年間約200万ドル(1ドル=130円として約2億6.000万円)との報告がある。
ヘッジファンドのフイーは、マネジメントフィーとパフォーマンスフィーで構成されているが、一般に、投資家はトータルで年平均2.4%程度の報酬を支払っているとされていることから、デューディリジ、エンスにかかわるコストを平均報酬率で除した金額、つまり約8.000万ドル(約100億円)がヘッジファンド投資をアウトソーシングするか否かの分岐点になるとされている。
投資金額が100億円以上ならば投資家が独自にスタイルピックをしてもコスト面でのメリットがあるが、投資金額が100億円未満ならば、ファンドオブファンズを活用するなどしてヘッジファンド投資のスクリーニングプロセスをアウトソーシングするメリットのほうが大きいということになる。
もちろん、投資家自らがヘッジファンドのデユーデイリジェンスを行うケースを想定しての試算である。
ここでは20社のヘッジファンドマネージャーを選定するのに200社のユニパースからの絞込みを想定したが、実際にはヘッジファンド業界には6.000〜7.000杜ものマネージャーが存在しており(なお、2001年においては月間100社ものマネージャーが誕生したといわれている)、そうしたなかから業界のわずか2%程度とされているトップランクのヘッジファンドマネージャーを探し出すことは非常にハードルが高く、さらに、欧米のヘッジファンドマネージャーと意思疎通が問題なく行え、最適なポートフォリオの構築を図るには相当な困難が待ち受けていることは想像にかたくない。
2-43は、横軸が過去12カ月間で下ぶれリスクの小さかったランクに基づいてヘッジファンドマネージャーを左(優秀なほう)から1、2、3、12カ月間の下ぶれリスクの小さいlグループに属するマネージャーの76%ものマネージャーは12カ月後も1グループに属していることがわかる。
優秀なリスク管理もさることながら、劣ったリスク管理も繰り返されるということを示唆している。
ヘッジファンドマネージャーの場合も、伝統的資産マネージャーと同様に、過去のリターンが将来のリターンを予想するうえでの材料にはならなし。
過去のリスク管理技術の巧拙は将来のリスクに対するマネージャーの対応能力を示しうるものである。
伝統的資産に対する市場感応度(マーケットエクスポージャー)やレバレッジの水準も一つのポイントになるが、基本的には、ヘッジファンドも伝統的資産と同じように四つについての分析が必要で、高度な専門能力が求められることになる。
次項ではFRM杜の事例に基づきヘッジファンドの投資プロセスを解説する。
ヘッジファンドの投資プロセスは、個々のヘッジファンドマネージャーのデューデイリジェンス(詳細調査)がメインになる。
そうした詳細調査を実施するにあたり、まずは組織や調査体制といったインフラが重要であることはいうまでもない。
FRM社では、ニューヨークに3名、ロンドンに19名、東京に1名と業界トップクラスの23名のアナリスト部隊を擁している。
そのうち、個別ファンドの評価やモニタリングを実施する定性評価担当に13名、統計分析裁定取引やシステム運用マネージャーが利用する運用モデルを再構築してパフォーマンスを検証する定量評価担当に3名、パックオフィスのメンバーに対する面接、基準価格算出プロセス、資産保全や事務執行能力を評価するオベレーショナルリスクの分析担当に3名を配置するといった調査体制を敷いている。
多くのゲートキーパーがアナリスト部隊を増強しているが、弁護士や会計士出身のアナリストが配置されるケースも少なくない。
ヘッジファンドは、従来に比べてファンドの透明性は高まってきているものの、自分のことを理解してくれるアナリストにのみポジションを明かすといったマネージャーも多い。
そうした状況下で、ヘッジファンドの実態をつかむためには、アナリスト自身もブローカー投資銀行伝統的資産マネージャー、ヘッジファンドマネージャーといった資産運用業界出身者であることが望ましく、そうでないと、ヘッジファンドの多様で複雑なポジションを解明することはむずかしい。
したがって、アナリストの陣谷のみならず、役割や機能、アナリスト自身の経歴といったものもポイントで、それが、ゲートキーパーのクオリティを左右することになる。
ゲートキーパーによるヘッジファンドのマネージャーセレクションは、伝統的資産においてスポンサーや年金コンサルティング会社が行うのと同じように、定量プロセスと定性プロセスから構成されている。
ヘッジファンドはマネージャーのスキルによるところが大きく伝統的資産にはない特有のリスクが存在するので、マネージャーセレクションに際しては伝統的資産以上の専門性が求められることになるが、ヘッジファンド業界には6,000-7,000社ものマネージャーが存在することから、定量スクリーニングプロセスからスタートするのが一般的である。
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